ベルリン
ハルテネック邸の庭園【2004年8月15日】
庭側から 建物側から
 西洋の庭園というと公園や宮殿の付属庭園が思い浮かぶ。レイアウトを施したり、自然の景観を模倣した英国式庭園などさまざま。ベルリンにもシャルロッテンブルク宮殿のバロック式庭園は、団体旅行のお決まりコースにも入っている。
 ドイツに限らず西洋の都市庭園のほとんどが、宮殿や貴族の館であるというのは、都市の構造に由来するといえるだろう。つまり中・近世に起源を持つ都市は、どこも当初は城壁に囲まれており、狭い都市空間の中では富豪といえども庭園を営むまとまった土地の確保は難しかったのだ。たまに中庭に申し訳程度の空間にレイアウトが施されているくらいだろう。ベルリンも例外ではない。
 しかし19世紀後半以降に市街地が郊外へと伸び、空間に余裕のある住宅建設が可能になると王侯貴族ではなく市民も庭園を備えた邸宅を構えるようになる。ガーデンシティー、田園都市の開発が始まる。ここで紹介するハルテネック邸もその一例。場所は、クアフルフュルステンダム通りに続く邸宅街グルーネヴァルト地区の中にある。Sバーン・グルーネヴァルト駅から徒歩5分ほど、Douglasstraße 7/9が目的地。
 1910−12年に化学工場経営者 Carl Hateneck によって造営され、その後何度か所有者を変えた。ナチ時代には国家保安本部 (Reichssicherheitshauptamt) の事務所として使用されたこともある。建物は古代のヴィラをモデルに作られており、庭園は19/20世紀のベルリンの市民庭園の典型であるという。ただしこの庭園は、80年代の復元によるもの。レイアウトが施された庭に隣り合って、自然景観を活かした庭園も設置されている。谷のようになっているのは、氷河時代のなごりだという。
復元された庭園は、史跡保護の対象となっており入場は自由。開演時間は、4−10月が8−20時、11−3月が8−18時。建物は、私有のままだが、一部はインテリアショップになっており、キッチュな(といって悪ければ「お屋敷風」の)家具、調度が展示、販売されている。19/20世紀の富裕市民層の生活を垣間みることができるだろう。【長嶋】

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フリーランスのリサーチャー、翻訳者、通訳者
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